東日本大震災被災地支援   上ノ山明彦

  被災地救援ボランティアに必要な準備と注意事項

 この記事は、4月26日現在の情報を基に書いています。
 3月11日の地震発生以来、約1ヵ月半が過ぎました。この間、高速道路は一般車も通行可能になり、被災地周辺での給油も可能になりました。場所によりますが、コンビニやファーストフード、食堂が営業している被災地もあります。
 現地ボランティアに入る場合、目的地の状況をできるだけ正確に知ることが、前提条件となります。
 その上で、いろいろな組織から出されている注意事項と私自身の経験を基に。現地ボランティアに必要な準備と現地での注意事項をまとめてみました。

1.ボランティア保険に加入しよう

 救援に入ったボランティアが、事故やケガ、病気などの二次被害に遭うことは、極力避けなければなりません。
しかしながら、不運にもそういう事態に直面することもありえます。そういう場合に備えて、ボランティア保険には必ず入っておきましょう。
●ボランティア保険加入方法
 自分の居住地にある社会福祉協議会(以下「社協」)で手続きすることができます。受付は平日のみ。書類と印鑑、それに掛け金(鎌倉の場合、480〜780円くらいと言われました)を提出するだけです。保険期間は1年間です。
 これとは別に、現地の社協でボランティア保険をかけてくれることもあります。ただ、それだけに頼らず、自分で保険をかけていくべきだと思います。

2.窓口となる組織・団体を探せ

 現地に入る場合、主に二つの方法があります。
個人ボランティアを受け付けている被災地の社協を探し、現地で受付時間に応募するのが一つ。これは情報収集から、準備と往復まで、すべて自分一人でこなさなければなりません。経験豊富な人にはお勧めですが、未経験の人にはお勧めできません。
もう一つは、個人ボランティアを募集しているボランティア団体に応募し、講習を受け、他の人と一緒にその団体から現地に派遣してもらう、という方法です。
 こちらも基本的にはすべて自己責任ですが、少なくとも必要最低限の情報やアドバイスをもらうことができます。現地では他のボランティアと助け合うこともできます。未経験の人、経験の少ない人には、こちらをお勧めします。
 では、どうやって現地の社協やボランティア団体を見つけるかですが、本サイトにも関係団体のリストを掲載しておきましたので、参考にしてください。

3.現地滞在は自己完結で

 被災地では、地震・津波発生後は、すべてのライフラインが停止していました。
現在では、それがすべて復活している地域、一部復活した地域と、いまだにすべて停止している地域があります。
現地の情報をできるだけ正確につかんでください。
また、全国的に余震が続いています。ライフラインが復活した地域でも、再び停止する可能性もあります。すべてのライフラインが停止しても対応できるように、食料、水、寝袋(必要な場合テント)、ガソリン、宿泊手段等は必ず準備しておきましょう。

 準備するときには、準備品チェックリストを作って、出発前に点検することをおすすめします。私もそうやって準備しました。それでも最後に積み込む予定だった車用工具箱を積み忘れて困ったことがあります。

4.自分の健康を守る対策

 通常の旅行と同様に、健康保険証は必ず持参しましょう。
 それに加えて、ケガをした場合に備えて、包帯・ガーゼ、消毒液、絆創膏くらいは持参したほうがよいと思います。
 頭痛、腹痛、下痢等の不安がある方は、自分に合った薬品も持参しましょう。持病がある人は、常備薬を必ず持参しましょう。

 さらに、これから東北地方もどんどん暖かくなってきます。そのため感染症の対策も十分取る必要があります。皮膚を露出しない服装や定期的な着替えを実行しましょう。
また、現地のガレキや泥土、粉塵にはアスベストや各種毒物、薬品も含まれている可能性があります。その対策も考えておかなければなりません。
 場合によっては、作業着や下着の使い捨て(もちろんゴミは持ち帰り)も必要になります。現地で作業するには、自分の健康を守るためにも、帽子、手袋、長靴、作業着、防塵マスク、ゴーグル(ホコリ、粉塵が舞うので目を防護)をしっかり用意する必要があります。

 もしも現地で体調を崩した場合は、無理をせずに現地を離れ、すぐ医療機関で診察を受けるようにしましょう。何事も万全を期して行動することが大切です。

5.復興段階によっては現地で購入

 これは現地での自己完結と矛盾するのですが、そこのライフラインや店舗がある程度復興した段階では、ボランティアが現地にお金を落とすことによって、そこの経済が回るように貢献することも重要になってきます。
 被災初期の段階では、現地は食料不足になりますので、コンビニやスーパーが開店していても、買い物は現地の人優先になります。この段階では、ボランティアはそこでの買い物を控えなければなりません。
 しかし、ライフラインが復活し、ある程度食糧不足が解消された地域では、経済の復興も視野に入れる必要があります。具体的には、お金が回るようにしなければなりません。
 そのため、状況によっては、ボランティアが現地で買い物をしてお金を落とすことが、現地経済に貢献することにもなります。その辺の見極めはむずかしいところがありますが、事前に現地の社協やボランティア団体に聞いてみるとよいと思います。
 この記事を書いている今の状況では、すでにそういう段階に入っている地域もいくつかあります。私は現地ボランティア団体のリーダーから、そういう話を聞いています。

(2011.4.27)

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