時代小説 参考文献情報 上山明彦著

江戸時代の暮らし、風俗、文化を知るための推薦図書一覧

 今回は、これから江戸時代の生活や文化について勉強していきたいという方に最適の本を紹介したい。くどくど解説する必要はないだろう。どれもすばらしい本なので参考にしていただきたい。

<推薦図書リスト>
タイトル 著者 出版社(文庫名) 上山明彦のコメント
絵が語る知らなかった江戸のくらし 武士の巻 (遊子館歴史選書 9)
絵が語る 知らなかった江戸のくらし 庶民の巻 (遊子館歴史選書)
絵が語る知らなかった江戸のくらし 農山漁民の巻 (遊子館歴史選書)
本田 豊 遊子館 2008年に発行された本で、図版が豊富であるところが特長である。解説も入門者向けにわかりやすい。
江戸切絵図散歩 池波正太郎 新潮文庫 テレビ時代劇で何度も登場している作品の原作者といえば、筆頭に挙げられるのが池波正太郎である。本書は「江戸切絵図」にある有名な場所を著者自らが案内している。著者の思い出も語られており、エッセイとしてもおもしろい。豊富な図絵と写真が掲載されているので、江戸時代を知る上で最適の入門書だ。
江戸にぞっこん―風流な暮らし案内 菊池ひと美 中公文庫 江戸時代の気分に浸りたい。それも絵を見ながら具体的なイメージで知りたい。そういう方にぴったいの入門書である。著者が女性だけに、江戸時代の化粧法、髪型、着物、食べ物に関する図解と解説は参考になる。
江戸東京物語 都心篇 新潮社編 新潮文庫 現代の東京と江戸を比べながら、その面影をたどって散策したいとお考えのあなたにぴったりの本がこれ。東京都心部に焦点を当てている。
江戸東京物語 下町篇 新潮社編 新潮文庫 現代の東京と江戸を比べながら、その面影をたどって散策したいとお考えのあなたにぴったりの本の姉妹編。東京の下町に焦点を当てている。
大江戸生活事情 石川英輔 講談社文庫 江戸時代の政治経済体制の分析から日常生活、仕事、教育、文化などを考察している。江戸時代の全体像をつかむのに最適の書だ。
大江戸生活体験事情 石川英輔、田中優子 講談社文庫 江戸時代の庶民の生活を本当に実践してみたらどうなるのか、それが本書のコンセプトである。予想と実体験とはかなりの開きがあった。本書を読み終えた後、私も挑戦してみたくなった。
雑学「大江戸庶民事情」 石川英輔 講談社文庫 江戸庶民の実生活を知るための好著。職業、衣食住、教育、娯楽、旅など、本当の庶民の暮らしを紹介している。
大江戸テクノロジー事情 石川英輔 講談社文庫 暦、時計、からくり、武具など、江戸時代のハイテクと遊び心を紹介。
大江戸番付事情 石川英輔 講談社文庫 江戸時代の庶民は、何でも番付した。現存している番付表を元に、著者がその読み方をおもしろおかしく解説している。
江戸藩邸物語―戦場から街角へ 氏家幹人 中公新書 江戸時代の藩邸と藩士の生活はどんなものだっかのか、興味深い。平和な時代に必ず人々を襲ってくるのは、出世と金と色の欲。著者が具体的なエピソードを元に、当時の暮らしを生々しく描き出してくれる。「人間というものは同じことを繰り返しているんだなあ」と思うことしきりだ。
江戸のお白州 山本文博 文春新書 江戸時代の犯罪、罪人と奉行・与力・同心、刑罰などを実話を元に考察。殺人、いじめ、誘拐、不倫、汚職など、人間のやることの本質は変わらない。江戸時代と決定的に違うのは刑罰の重さ。命がけの不倫、恋愛など興味は尽きない。
江戸人の老い 氏家幹人 PHP新書 隠居後の徳川吉宗の実像、「北越雪譜」という名著を残した鈴木牧之の老後など、江戸人の老いととその実生活に迫る。老人化社会に直面している現代日本人にとって身に詰まされる話だ。
江戸こぼれ話 文藝春秋編 文春文庫 武士から商人、町人の生活まで様々なエピソードを18人の作家が紹介。
元禄御畳奉行の日記―尾張藩士の見た浮世 神坂次郎 中公文庫 時は元禄時代。尾張藩の御畳奉行、朝日文左衛門が約26年間かけて綴った日記を元に、作家神坂次郎が当時のサムライの衣食住、遊び、宮仕え、同僚・家族との関係をおもしろおかしく解説する。
サムライたちの自由時間 神坂次郎 中公文庫 天下太平の江戸時代。サムライたちはヒマをもてあまし、そのあげく何をしたか?うだつのあがらない現代の役人やサラリーマンを彷彿させる話を神坂次郎が紐解く。
江戸を駆ける 神坂次郎 中公文庫 歴史資料を読んでいくと、生々しい人間の行為に出会うと著者が言う。たしかに人間の愚かさ、滑稽さは昔も今も変わらない。そんなことを痛感させてくれる本がこれ。
おかしな大名たち 神坂次郎 中公文庫 「おかしな」というより「ろくでもない」大名の話が多い。思わず家臣たちに同情してしまう。
幕末を駆ける 神坂次郎 中公文庫 幕末の動乱期、多勢の人々がそれぞれの「維新」を抱きつつ時代と向き合っていた。ここではちょっと変わった人たちの幕末を紹介する。歴史はおもしろい。
人物列伝幕末維新史 綱淵謙錠 講談社文庫 時は幕末。著者が多様な資料を駆使しつつ水野忠邦、栗本鋤雲、勝海舟、大久保利通、坂本龍馬、福沢諭吉の実像に迫る。驚きの事実が明らかになる。
剣豪伝 地の巻 歴史を旅する会編 講談社文庫 主に幕末の剣士に焦点を当て、その実力を著名作家たちが探る。千葉周作、坂本竜馬、桂小五郎、沖田総司など、19人の作家が新発見に挑んでいる。
剣豪伝 天の巻 歴史を旅する会編 講談社文庫 上記と同じシリーズ。南原幹雄、加来耕三、早乙女貢、神坂次郎氏ら著名作家たちが剣豪の謎に迫る。
忍者の謎―戦国影の軍団の真実 戸部新十郎 PHP文庫 忍者の実態をあらゆる角度から探ったノンフィクション。一般的なイメージ=超能力を持つ忍者とはかけ離れたリアルな忍者の話がおもしろい。忍者を正しく知るには最適の本だ。
江戸へようこそ 杉浦日向子 ちくま文庫 時代考証家・稲垣史生の弟子である著者が、江戸趣味とは一線を画した江戸文化論を展開する。特に江戸庶民の遊び心や春画論についての考察は、非常に参考になる。