あなたに伝えたい本

 タイトル  日本でいちばん大切にしたい会社
 著者  坂本 光司
 発行年月  2008年4月
 出版社、定価  あさ出版  1400円+税
 キーワード  ノンフィクション, 日本的経営, 障害者雇用, 中小企業, 従業員を大切にする, 地域を大切にする
 

 従業員を人として扱わない企業が多い中で、こんなにすばらしい会社があったのか、従業員にも地域の人にも愛されて伸びていく企業経営というは実際にあるのだ、ということを教えてくれる本です。月並みですが、「目からウロコが落ちる」思いで読みました。
 著者は法政大学の教授ですが、日本全国の中小企業6000社を実際に取材して、たくさんのすばらしい会社の実態を研究している人です。アカデミズミに捕らわれない熱い語り口には、思わず引き込まれてしまいます。
 本文で紹介されているのは厳選された5社。冒頭の日本理化学工業は、社員の7割が障害者で、チョークを主に製造・販売している企業。50年前に初めて障害者を採用することになったいきさつ、それからの出来事には心を打たれるものがあります。
 この会社の大山泰弘社長は採用した障害者の社員が、毎日本当に楽しそうに働くので不思議に思って、ある御坊さんに聞いきました。その人が言うには、「幸福とは@人に愛されること、A人にほめられること、B人の役に立つこと、C人に必要とされること」。このうちAとBとCは働くことによって得られるものだというのです。このとき大山社長は企業の社会的使命に気付き、以来50年間障害者を雇用し続けてきました。ほかにも感動的な話がたくさんありますので、それは本書で読んでください。
 続いて、伊那食品工業、中村ブレイズ、柳月、杉山フルーツが紹介されています。どの会社も従業員と地域の人々とお客様を大切にしています。しかも、立地条件や業種など不利な条件がたくさんあるにも関わらず、経営的に伸びているのです。どうしてそういう経営ができるのか、ぜひ知っていただきたいと思います。

(評者: 上ノ山明彦)


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