第1章 井上萬二氏の略歴と作品
2012年11月3日、筆者は、有田焼の伝統を継承しつつも、白磁で独自の世界を築いた人間国宝・井上萬二氏の窯を訪れた。多忙の中、テレビクルーの一ヶ月にわたる取材が終わったばかりだという。
見るからに、かなり疲れておられるご様子。そんな中でも、我々のインタビューに快く応じていただいた。話の内容は、修業時代の玄人世喜び、技を高めることの意味、日常生活と趣味など、多方面に及んだ。 萬二氏の圧倒されるような作品群はもとより、氏の飾らない性格、おおらかさに、筆者はたちどころに魅了されてしまった。 各章で掲載されている動画は、その時のインタビューのビデオである。映像と肉声で、直に井上萬二氏の世界に触れていただきたい。テープ起こしの原稿も添えておいたので、参考にしてください。 |
1. 井上萬二氏略歴 井上萬二氏の信条は、「加飾に一切頼らず、絹のような白い釉薬をまとっただけの白磁は造形こそが命」。 |
昭和4年(1929)、佐賀県有田市有田町生まれ。 |
<参考資料> 平成20年に文化庁が井上萬二氏を取材し製作したビデオがあります。非常によくまとめられていますので、ご紹介します。 |