第2章 修行の喜び

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下記にテープ起こし原稿を掲載します。話の中で省略された言葉を多少補足してあります。

3.恩師との出会い

Q 先生は修行後、最初にいた窯を離れられます。

井上萬二
私は修行を13年間やっていたんです。それから県の試験場に13年間勤めました。トータル26年経ってから自分の窯を開いたんです。

Q その13年間で希望が見えてくるという状況になったのですか?

井上萬二
はい、希望が見え出した。人間は人との出会いによって開眼し、感動しなくてはいけない。その感動というのが私の場合、戦前、奥川忠右衛門という名工に出会いして、その名工がどんなものでも神業的にモノを作り出す技の持ち主でした。
私が壁にぶち当たってどうしようかというときに、その人と出会いした。業も神業的な究極の技を持っていらっしゃるし、給与においても、まだ我々が給与をもらえない頃に、他の技術者の3倍の給与を取っていらっしゃった。給与にも目をみはる、技にも目をみはる。どうせやるなら、この人に近づこうという夢を与えてくださった。それからまた修練に打ち込んだんです。
だから、人間は周期的に誰かと出会う。必ず人生の中でそれがある。それを大切にし、また感動して、開眼していく。人生は節目節目に、誰かと出会う。どの人でも、出会いというものは大切なものだということ。技ばかりでなく、人間的な面においてもそうです。