第2章 修行の喜び

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下記にテープ起こし原稿を掲載します。話の中で省略された言葉を多少補足してあります。

4.若いときよりも何倍も努力

井上萬二
私事ですまないけど、東京銀座の和光で毎年6月、連続37回個展を開いています。同じ会場で、しかも銀座のど真ん中で、毎年繰り返すというのは、本当にたいへん。
「これは数年前に見た、これは何年前に見た」ではなくて、何か新しいものを数十点提供しないと、お客様の感動もないし、またお買い上げもできないし、展覧会というのはできない。
そのため、私にとっては苦しい展覧会なんです。苦しいけれども、あえて挑戦する。勉強の場だと思ってやっているんです。

Q。先生のように非常に高いレベルにある方が、さらにその上をいくというのは、並大抵のことではないですよね。

井上萬二
ほんとにそうです。どこまでしていいか。青春というのは、一時期が青春ではなくて、死ぬまで青春でないとだめなんです。今年は東北だった、今年は関東、九州だった、今年は関西だったと、都市が変わって出品するときは新鮮さも感じるけど、同じ会場で、毎年続けるというのは、マンネリ化ではだめですから、何か新しいものを提供しなくちゃならない。本当に苦しい展覧会なんですけれど、それが勉強の場だと思ってそれに挑戦しているんです。
60数年やっているけれど、これでいいということはありえない。いまだに何か見たとき、よしこれを創ってやろうという念に燃えるけど、体力的年齢的に思うように動かないのが現実ですけど、それを変わらないようにするためには、いくら年を取っても健康でないとダメで、そのために二つの努力をしています。
若いときは自分の作陶だけの努力でよかったけど、年を取ったら健康を維持するための努力をしないといけない。食べたいものだけを食べたらいろいろ障害が来るから、食生活においても、やはり節制をしないといけない。日々の運動をして、体力を維持するための努力をしないといけない。
それと作陶の努力と、若いときよりも二つも三つも努力しないといけなのが現実なんです。