第2章 厳しい修行から得たもの
★上のプレイボタン(右矢印)をクリックすると、再生されます。 下記にテープ起こし原稿を掲載します。話の中で省略された言葉を多少補足してあります。 |
2.職人気質の大切さ 陶芸がブームになってからの30年と、私が習った30年前の技法というと、全部我流になってしもうとるんですよ。最初はちゃんとした先生について習っていますけどね。職人でがんばるということが、今の人はないでしょ。窯元に入って職人として働くということがない。ほとんど独立しますからね。 本当の焼き物の良さというものは、濡れたおしベラで形を整えるときにですね、自然に回転に応じて土が寄ってくるんですけど、電動ちゅうのは変速で回転が落ちますけど、止まるということがない。ですから、一番大事な口先が開くんですよ。外れていくんです。蹴りロクロの場合は、回転が止まってきますから、伸びた土がかぶってくるんですよ。そこが手作りと機械の違いです。 本当に焼き物を知っている人は、「なんかあんたんとは妙に違うもんな」と言います。言葉で説明できないような丸みとか柔らかさが、手作りでは出てくるんです。そこまで今の人は勉強せんから、ちょっと難しいところもあるだろうと思いますね。 私が一番頭に残ってるのは、初代奥川忠衛門先生のところに、大物は作ったことがなかったから、会社でも作らなければならんようになったわけですね。それで私が「勉強したい」と言ったら、会社が「奥川先生のところに行け」ということになった。週に1回くらいしか行けなかったですけどね。 一生職人で終わるなら、やっぱり細工人として人には負けたくないなという気持ちがあって、いまだに挑戦です。まあ、職人というのは何の仕事もいっしょでしょうけど、これでいいということはないですからね。いいものができたらできたで、この次はもっとと、欲が出ますから。そういうことを思いながらする人は、職人として息が長いんじゃないでしょうかね。自分はそう思います。 |